元PEファンドの中の人

PEファンドの実態あれこれ

PEファンドの一番大事なお仕事は投資先の企業価値向上?いいえ、違います。

PEファンドのサイクル

PEファンドは、投資家から資金調達をして、調達した資金で非上場会社(一部例外あり)の株式を取得し、一定期間内に投資先の企業価値を引き上げたのちに当該株式を売却し、売却で得た利益(キャピタルゲイン)の一部を分け前としてもらう、というサイクルを繰り返しています。

つまり、

  1. 投資家からの資金調達
  2. 投資先企業の発掘
  3. 投資に向けた調査(デューデリジェンス、DD)、交渉、契約締結、投資実行
  4. 投資先企業の価値向上
  5. 投資先の売却

が一連の流れになります。

 

もちろん、資金がなければそもそもファンドがはじめられないので、投資家からの資金調達は極めて重要なタスクです。しかしここに本格的に関わるのはごく一部の人々で、PEの中の人でも実際に資金調達に関与した経験のある人はごく僅かだと思います。かくいう私も、資金調達はちょっとお手伝いをした程度ですので自信満々に語るのは憚られる領域です。そして、これからPEファンドへの転職を考えている人などは、仮に転職が成功したとしても当面ここにタッチすることはありません。機会があれば別途言及したいとは思いますが、いったんは触れなくともよい部分です。

実際にPEファンドの社員の多くが日常的に関与しているのは、②投資先企業の発掘から⑤投資先の売却に至るサイクルの全部または一部です。

 

PEファンドで最も重視されるのは

ところで、この一連のサイクルにおいて、もっとも大事なプロセスはどこでしょうか。一見、「投資先企業の価値向上」が聞こえもかっこいいしファンドの腕の見せ所のように思われるかもしれませんが、全く違います。もちろん、ファンドの人々は投資先企業の価値向上のためにいろいろと手を講じるし、その巧拙が投資先の企業価値、ひいては最終的なファンドの投資パフォーマンスに影響することは否定しません。

しかし、より重要なのは投資先企業の発掘(ソーシング)です。1にも2にもソーシング。ソーシング力こそファンドの力。ソーシングできる人が偉いし評価される。ソーシングできない奴は話を聞いてもらえない。

このような現象は、ソーシングの難易度が高いことと、それ以外の部分で差がつきにくいことに起因します。次回以降、もう少し詳しく説明します。