元PEファンドの中の人

PEファンドの実態あれこれ

PEファンドで10年働いて見たこと感じたことを書いていく

PEファンドの実情が驚くほど世に出ていない

既に退職し別業種へ転出しましたが、結構長い期間(10年程度)プライベートエクイティ(PE)ファンドの投資職に身を置いていました。PEというと世間一般では「投資銀行や戦略コンサルのようにアドバイザーにとどまることなく、買収企業の株主になり経営を担えるというかなり「経営」に近い仕事内容である点や、非常に高い収益性から報酬も多額であるというイメージから、長らく人気転職先の一つとなって」いるとのこと。

多分多くの人がそういうイメージを持っているのだろうということは自分のまわりにいる異業種の方々と接していても感じるところです。私自身も元々のバックグラウンドが金融ではなく、PEファンドへの転職活動を行っていた10年以上前には上記のようなイメージを抱いていました。また、異業種の人と知り合う場において、「はじめてPEファンドに勤めている人に会った」と言われたことも一度ではありません。10年前と比べるとPEファンドが絡んだ大型案件も増加してきて多少世間の認知度は上がってはいるものの、その実情や彼らのマインドなどを知れる機会は非常に限定的だと思います。敢えて挙げると現役の人や数年の経験を経てベンチャー幹部に転向した方のインタビュー記事などは目にしますが、上記のイメージを強化するような内容がほとんどだと感じます。

 

しかし、ぶっちゃけると、その「イメージ」は少なくとも日本においてはほぼ当たっていません。ミステリアスであるがゆえにイメージが是正されない結果、多くの若手人材が門戸をくぐるも「思ってたのと違う!」となって去っていく業界でもあります。これだけ情報に溢れている現代においてこれほど情報の非対称性がある事象も珍しいと思います。

 

中の人の体験談はなかなかお目にかかれない

そこで、このブログでは、自分が実際にPEファンドで働いてみてわかったことや感じたことなどを徒然なるままに書いていこうかと思います。記事によって対象がPEファンドへの転職を目指す人、既にPEファンドで働いている人、PEファンドと仕事をしなければならない人、などブレるかもしれませんが、ご容赦ください。

また、私は在籍したPEファンドが1社だけですので、自分の経験や見方が必ずしも業界全体に通じるものではないことは承知しています。これは世界的に言えることですが、PEファンドは創業者あるいは創業メンバーが代表・経営陣として長期にわたり君臨することが多く、代替わりに成功しているファンドは極めて限定的です。クセ強めのオーナーによる長期の治世の結果、各社で独特のカルチャーが醸成されるにいたっており、一社での経験が業界全体を俯瞰的に語ることに十分だとは思いません。しかし、そうは言ってもある程度一般化できる話もあると思うし、業界に10年近くいた人間というのは比較的レア度が高いとも思うのです。ですので、あくまで独断と偏見という注釈をつけた上で、かつ特定のファンドやつらつらと書いていこうと思います。

 

※「PEファンド」で働いて、というのは必ずしも正確な表現ではなく、PEファンドを管理するGP会社、というのが正しいですが、敢えて誰にでもわかりやすい表現にしています。ファンドのストラクチャーだとかはどうしても説明が必要な場合を除き、ここで事細かに語るつもりはありません。